概要
東野圭吾の人気ミステリー「加賀恭一郎シリーズ」10作目の映画化。2018年公開、福澤克雄監督。2010年に放送された連続ドラマ「新参者」、2本のスペシャルドラマ、映画「麒麟の翼 劇場版・新参者」に続き、阿部寛が主人公の刑事・加賀恭一郎、松嶋菜々子が物語の鍵を握る美しき舞台演出家・浅居博美を演じる。
ドラマ「新参者」シリーズからの主人公の母の失踪の謎や父との確執の問題に決着がつく内容なので、未視聴の方はシリーズ公開順から追うのも良いかもしれません。ですが、この映画単体でも十分な内容だと思います。
あらすじ
東京都葛飾区小菅のアパートで滋賀県在住の押谷道子の絞殺死体が発見された。アパートの住人も姿を消し、住人と押谷の接点は見つからず、滋賀県在住の押谷が東京で殺された理由もわからず捜査は難航する。捜査を進める中で加賀は、押谷が中学の同級生で演出家の浅居博美をたずねて東京にやってきたことを突き止めるが……。
感想
- 強烈な演技に引き込まれる
浅居博美役の3名の女優、14歳の頃の姿を桜田ひよりさん、美しい舞台女優へと成長した20歳の姿を飯豊まりえさん、そして気鋭の演出家になった現在を松嶋菜々子さんが演じているのですが、どの時代も素晴らしい演技でした。
少女時代のトンネルのシーンは鳥肌が立ちました。この女優さんは若いのに素晴らしいなと。
中絶を決意するシーンやその後の回想シーン等、少女から女性へ移り変わる間ならではの葛藤や感謝と愛情あふれる表情に心が震えます。
やがて大人になり、現在までの人生の重さから滲み出る冷酷無比な表情で積年の恨みを晴らすシーンと、子供の頃に戻ったかのように泣きながら重大な決断を下すシーン等。
そして冒頭から登場する綿部俊一という謎の男性。素朴で誠実そうな面と大切なものを守る為の狂気とも思える愛情深さには、静かでありながら鬼気迫る凄みを感じました。私はこの男性に一番共感し、感情移入してしまいました。 - 複雑に絡み合う謎
ある女性の死から幕を開け、断片的な身辺の情報とカレンダーの文字から始まり、捜査を進めるうちに、それぞれの登場人物の人生が互いに絡み合い予想もしない形で影響し合いながら、入り組んだ一つの物語を作り上げて繋がっていきます。
そして偶然と人間の思い込みが意図しないトリックとなり、より事件を複雑にしていきます。
事件の全貌が見えてきた時には「マジか…」と言ってしまいました。
視聴後には心の中で思わず拍手をするのと同時に、子供に対する思いと人生の幕の降ろし方を少し考えてしまいました。



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