概要
2000年のアメリカ合衆国のサスペンス映画。脚本・監督:クリストファー・ノーラン、主演:ガイ・ピアース。
記憶障害によりわずか10分間しか記憶を保てなくなった男が妻を殺した犯人を追う姿を描いたクライムサスペンスで、物語の時系列を逆行させながら描くトリッキーな構造により観客はその記憶障害を追体験する。
その革新的な内容が口コミで広がり、アカデミー賞において脚本賞、編集賞にノミネートされるなど、興行的にも批評的にも高く評価された。また、2017年には2000年代の映画としては4作品目(劇映画としては初)となるアメリカ国立フィルム登録簿に追加された。
あらすじ
ロサンゼルスで保険調査員として働くレナードは、自宅に侵入してきた男に妻を殺され、自らも頭部を損傷して記憶障害を負ってしまう。それ以来、新しい記憶を約10分しか覚えていられなくなった彼は、ポラロイド写真を撮ってメモを書き入れ、重要な情報を身体のあちこちにタトゥーで刻んで記憶を繋ぎ止めながら、妻を殺した犯人を追うが……。
感想
老後の自分を体験できる
10分間しか記憶を保てない主人公であるレナードが、テディという男を殺害するところから物語が始まります。もちろん観ている側はその前後に何が起こったのかが分かりません。
そう、まるで記憶障害のある主人公と同じように。
主人公はポラロイドカメラで人物の顔や自分の車等を撮影しメモを残してそれを頼りに行動しているのですが、中々全てが繋がりません。
時間を遡り断片的な情報を繰り返し描写することにより全体像が見えてきます。
視聴中は「たぶん主人公も同じ気持ちだろうな…」と感じながら、まるで忘れた記憶を辿るように観ていました。
それが今まで観た映画には当てはまらない不思議な演出で、物語に引き込まれていきました。
歳を重ねると忘れっぽくなると言いますよね… 恐ろしい。
モノクロとカラー
とても難解な映画です。モノクロの映像で主人公が謎の人物と「サミー」という男について通話しています。主人公は写真とメモの他に重要な情報を自分の体にタトゥーとして記しています。その中の一つに「サミーを忘れるな」と左手に刻んでいます。
通話相手は誰なのか?という疑問を持ちながら、徐々にサミーという人物像が明らかになっていきます。
そしてカラーの映像では冒頭の出来事が、どういう経緯でそこに向かっていったのかを、時間を行ったり来たりしながら追体験していきます。そして最終的にモノクロとカラーが交わり全貌が明らかになります。
登場人物は多くはないのですが、整理しながら観ないと、誰が誰のどの時間軸での事を語っているのかを把握できないので混乱します。ですがそれが繋がっていく過程が気持ち良く感じる部分なのかもしれません。
謎解きではなかった
主人公視点で物語が進行していくのですが、その視点の人物が記憶障害という部分で、言わば「どうとでもなる」ストーリーなのかな?と思います。主人公は他人に操られない為に写真やメモ、自分の筆跡を覚えるという防衛策をとっているのですが、それを見ても記憶が蘇るのではなく、決断を下す材料でしかないのです。
なので何が起こったのかを追う楽しみではなく、事実を知りそこに至るまでの心理描写や本来の目的を辿る事と、その観せ方に面白さがあるのかな?という印象を持ちました。
私的には超難しい映画でした。二周目不可避でございます。


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