映画『ウインド・リバー』のネタバレなしの感想

ミステリー、サスペンス映画
サスペンス・クライム・スリラー映画
公開年:2017年、監督・脚本:テイラー・シェリダン、出演:ジェレミー・レナー、エリザベス・オルセン

第70回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に出品され、シェリダンが監督賞を受賞。 シェリダン監督は、MMIW(先住民女性や少女の失踪・殺人事件を認知させるための運動)を背景に、ウインド・リバーにおける問題への意識を高めるためにこの映画を作ったと語った。

映像
舞台であるた雪国ウインド・リバーの自然の厳しさを想像させるのに十分な空気感を表現する映像が印象的です。
犠牲者である女の子は暴行を受けて夜間の極寒の中逃げて、冷気で肺胞が凍って死亡という惨たらしい死因や、この環境と無縁の土地から来たジェーンがコリーに協力を要請する状況等の説得力が映像から感じられます。
辺り一面が白銀の世界で美しく広大で優雅である反面、知識がない人間が迷い込めばあっさりと命が奪われる恐ろしさを感じました。
数年前に観た映画「エベレスト」を思い出しました。

コリー・ランバート
感情を大きく表に出さない人物ですが、言葉の端々、視線、沈黙の間から深い悲しみと優しさが滲み出ています。
過去に自身の娘が不審な死を遂げており、今回の事件と重ねている部分もあるのかな?
犠牲者の女の子の部屋に友人と映っている写真があるのですが、おそらくコリーの娘なんじゃなかろうかと思います。
彼の静かな演技が、この映画全体を支えているといっても過言ではありません。

物語の印象
サスペンスとしての緊張感は控えめですが、心を抉るようなシーンが多々あります。
FBIの捜査官の前では気丈に振舞っていた被害者の父親が、友人であるコリーが現れると堪えきれずに泣き崩れるシーンは胸が苦しくなりました。
父親として娘の無残な死に対する怒りと苦しみは、子を持つ親として辛い気持ちが痛い程共感できる事に加えて、その背景には先住民女性の失踪・暴力の問題があります。
映画の最後には「ネイティブ・アメリカン女性の失踪者統計は他の層と違い一切存在しない(集計されていない)」というテロップが流れ、人種差別等の社会的な問題を問われているような感覚になりました。

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました